規制緩和が国民経済を縮小させた!

国民経済は対立面の統一の法則の中で運動している。労働者と経営者は利益の配分を巡って対立しているが、どちらも相手を必要としている。大幅な賃上げは一時的に利益を減らすが、しかし拡大する個人消費が国民経済の拡大再生産を促すので、将来の利益の拡大を保証するのである。それゆえGHQは戦後労働改革で強い労組を誘導したのである。

アメリカ経済は市場規模が大きいのでその覇権的地位を保持しえているのである。日本経済が非正規化や残業代未払い等で実質的賃下げを進めた結果国民経済の縮小再生産(=デフレ)招いた事との違いは、アメリカの資本家は生産性の向上を先行し、配分を不正にごまかすような絶対的剰余価値の追求をしないが為に市場規模が大きいのである。

日本経済は設備投資を促す環境整備が重要なのであり、姑息な絶対的剰余価値の獲得策は国民経済の縮小を招くだけなのだ。日本企業は莫大な内部留保を蓄えている。したがって残業割増率を100%ととし、最低賃金を1200円にアップするなら、残業させたり、人を雇うのではなく省力化投資を政策的に促せば、企業の利潤率は格段に増えることを指摘しなければならない。

すなわち日本経済の20年に渡るデフレ経済は労働組合の家畜化の誤りと、小泉改革以後の非正規化の誤りの結果であり、労働争議の公認と残業割増率や最低賃金の引き上げ等の規制強化が、日本経済の拡大再生産への道なのである。安倍政権が規制緩和の政策で解雇の自由化や金銭解決制度で安上がりの解雇制度を作ろうとしているのは、国民経済の拡大再生産にとって個人消費の拡大が重要な事を全く理解していないがためである。安倍は政治を経営者の目先の利益から行う誤りを続けている。

日本経済の再生の道は誰が考えても大幅賃上げなしには有り得ない。必要なのは設備投資による生産性向上を誘導する政策だ。最低賃金の欧米並みへのアップと残業割増賃率の100%へのアップ、同一労働同一賃金が法的に保証されるべきである。これらが実施されると企業の省力化投資に火を付けるであろう。企業経営者の強欲を刺激し、自ら国民経済は対立面の統一の法則の中で運動している点を理解させることが必要な事である。すなわち経営者の目先の強欲が過ぎたるゆえに日本経済の縮小再生産(=デフレ)があることを自覚させる以外ないであろう。国政レベルの政策は国民経済を発展させる視点から行うべきで、一企業経営者の視点からせこい賃下げ狙いの規制緩和などすべきではないのである。

なぜ日本の労働生産性は低いのか?

日本生産性本部によれば、2014年度の物価変動の影響を除いた実質の労働生産性が、前年度比1,6%減となった、という。日本の労働生産性は経済協力開発機構(OECD)加盟国中先進主要7カ国の中で最も低いという。

生産性本部の茂木会長は「日本人は勤勉な国で、生産性が高いはずと考えられるが残念な結果だ。」とコメントしている。それではなぜ日本は生産性が低いのか?それは長時間労働が示している。企業は仕事を多くこなすために省力化投資をするのではなく、残業をやらせる。これでは生産性は高くならないのである。

労基法の定める残業代の割増賃金は2割5分だが、これを60%以上にすると、残業代よりも人を雇う方が安くなる。しかしそれだと人手不足になる。そこで初めて企業は省力化投資に向かうことになる。つまり日本の生産性が低いのは、日本人が勤勉で安い賃金で長時間働くからに他ならない。

日本経済をデフレから脱却させるには、最低賃金を1200円にすることと、時間外労働の割増賃金を60%以上にすれば解決できる。日本企業は国家予算の3年分以上の300兆円もの内部留保を持っている。日本経済にいま必要なのは賃上げだけでなく、企業を省力化投資に導くための割増賃金率を引き上げることなのだ。

日本人が勤勉で、残業で長時間働くことが日本の生産性を低下させている原因なのである。長時間の時間外労働をやらせれば(=高いコストになるようにすれば)企業は省力化投資を開始するであろう。つまりサービス残業の摘発と、時間外割増賃金を60%以上に引き上げることが政策的に重要なことなのである。

日本経済の高度成長時には、日本企業は省力化投資を盛んにおこない、その結果莫大な超過利潤を手に入れられたので大幅賃上げも可能だった。賃金の安い国に生産拠点を移し、国内での省力化投資をやらなくなったことが日本企業の生産性を低下させている原因である。例えば時間外割増賃金を100%にすれば、企業は省力化投資を急ぐことになり、日本企業の生産性は高まり、競争力も高くなり、企業は莫大な超過利潤を手にする事になるであろう。つまり安倍首相は円安に誘導することが重要なのではなく、省力化投資へ企業を誘導する政策を取ることが重要なことである。

TPP大筋合意で日本の農家は大変なことに!

昨日、環太平洋パートナーシップの交渉が大筋合意した。各国の議会でこの協定が承認されるか?という問題は残るが、ほぼ協定は発効すると見られる。

そうなると日本のコメ農家・酪農家・サトウキビ生産者などは外国からの安い商品の流入で価格が低下し大変なことになる。工業製品と比べ農業分野は、日本は自然的条件が悪く、対策は主要には政府補助金をつぎ込む以外にない。

政府は、日本では農業だけで食えないので、結果後継ぎがないので市場開放しても問題は一時的と見ているのである。しかし今以上食糧自給率が下がると日本は胃袋までアメリカに支配されることになかねない。食糧安保という視点を無視し、市場開放を進めることは日本農業が死滅することである。

TPP大筋合意は、経済的には世界の40%の巨大市場を作ることであり、経済のブロック化であるが、生産性が低い分野まで市場開放すると農業で生きていけない人が生まれてくる。TPPは、政治的にはドル圏・ユーロ圏・元圏・ルーブル圏という世界の多極化を促すものである。それは市場の囲い込みであり、世界はブロック間の競争に進み始めたと言える。今後市場の囲い込み競争が激化するであろう。

日本農業への十分な補助金を保証できるのか?安倍政権にとっては来年の参院選の勝敗にも関わる問題となった。

大企業と株主だけが大儲け!

安倍政権の2年間で利益上位500社の連結経常利益は12年度の24兆9000億円から、14年度には41兆8000億円(68%増)に増加した。株主配当は48%増加し、役員報酬は21,3%増加した。

社員1人当たりの賃金は4,6%増えただけで、物価上昇率や消費税増税で実質賃金は低下している。それに対し会社役員で1億円以上の報酬を得ている人は全国で411人となり関西では1億円以上の役員は52人に上っている。

アベノミクスとは大企業と金持ちが潤うだけで労働者は実質賃金は低下しているのである。中小企業は円安で輸入原材料が値上がりし、また電力料金が値上がりし経営困難に直面している。日本経済のデフレは賃金の思い切った上昇が必要だが、最低賃金もわずか18円のアップに終わった。大企業と金持ちだけが儲かるアベノミクスは、大ブルジョア独裁の経済政策と呼び変えることができる。

国民経済が拡大再生産の循環にならなければ経済政策は失敗である。安倍政権は国民には厳しく金持ちに優しい政治である。本当の「思いやりのある政治」とは社会的弱者に恩恵が及ぶ政治であるべきだ。経済政策が欺瞞的であるなら、安全保障面における戦争法は、売国的で亡国路線に国民を引きこむ悪法と言うべきである。国民的合意路線で決めるべき安保課題を強行採決で決めようとする点に、安倍政権の大ブルジョアの利益優先の大ブルジョア独裁の傲慢な特徴がある。

豊かな者はますます豊かに、貧困な者はますます貧困になる安倍政治がぼろを出しつつある。安倍政権の支持率が36%に急落したことがそれを示している。問題は、与党は団結しているのに野党はバラバラだということだ。

現象と本質について!

安倍政権が、日本の経済がデフレになり物価が下がるので、通貨供給を増やしインフレで物価を上げる目標を出している。この場合「物価が下がる」という現象に対して対象療法をしているようなものである。インフルエンザウイルスに感染すると現象として発熱や寒気がする。アベノミクスはこの発熱に解熱剤を飲ませているようなものである。

現象は事物の外部連関をさす。事物の現象形態を研究し本質に迫るのが科学である。もし事物の現象形態と本質が一致するなら科学は必要ないであろう。なぜ物価が下がるのか?個人消費が縮小したことで商品が売れなくなる。売れなくなると値下げしてでも売らねばならない。市場の縮小の下で、資本主義の競争が値下げを呼ぶのである。

本質とは事物の内部連関を指している。なぜ個人消費が縮小したのか、政府が規制緩和を進め、非正規化が進んだことで賃金がさがったこと、労組の家畜化で労働運動が形骸化し賃上げ闘争がなくなったこと、労働者階級の力が減退すると賃金が低下し、分配率は下がることになる。生産拠点の海外への移転も国内産業の空洞化となり、個人消費の縮小となる。こうして個人消費が縮小すると消費財生産分野が打撃を受け、やがて生産財生産分野も縮小する。国民経済が活力を失い縮小することをデフレ経済という。

だからデフレ対策というなら、労働者階級への分配率を上げることが必要なことである。それをするには首相が経済界に賃上げを要請してもダメで、強い労組を必要とする。だからこそGHQ(=米占領軍)は戦後労働改革で、労組を合法化し、労働三権を保障し、不当労働行為を禁じたのである。ところが強欲な企業家が労組を家畜化し、その結果賃金が傾向的に低下することとなった。これがデフレという現象の内部連関(=本質)である。

従ってアベノミクスが間違っていることは明白であるのに、経済学者が声を上げないのはどうしたことであろうか?経済学とは、国民経済の成長・発展を導く学問ではないのか?不思議なことである。権力を批判すると補助金が貰えないから誰も批判しないのなら、それは経済学者にとって自殺に等しいのではないか?科学とは現象から本質に近づき事物の内部連関を解明し、現象すなわち事物の外部連関を解決することであるのだから、経済学者が進んで政府の経済政策の間違いを、間違いであると指摘するべきであろう。
プロフィール

m.kadono

Author:m.kadono
一人でも入れる労働組合「新世紀ユニオン」ではリストラ無料相談を行っています。
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