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パワハラ被害者を救済しない損失について!

パワハラ裁判でいつも感じるのは、被告会社の弁護士が全てのパワハラを否定し、仕事上のトラブルに置き換えることだ。仕事上のトラブルにすれば労働基準監督署も裁判所もだませると思っているのだ。例えば指導のできない札付きのパワハラ加害者が、まるで理想的な指導者に裁判書面の上では変わるのである。したがって明白な証拠もなしにパワハラ裁判を闘うことはリスクが大きいのです。

パワハラで重いうつ病になった場合、本人が録音を取ることは非常に難しい。軽いうつ病の場合は録音を取ることは可能で、そのような事例もあるが、重いうつ病では職場の友人に録音を頼ることになる。大阪ではパワハラでうつ病になった場合の労災認定はほとんど不可能だ。長時間労働の証明できないし、発症の時期をいくらでもずらして認定を避けることができる。したがって大阪では認定は20件に1件あるかどうかと言われている。

だから被告企業側は労災認定されなかった事を持って、裁判書面で「不支給処分が行われた事実は、少なくとも労働基準監督署の調査によっても、原告が上司によるパワハラを受け、うつ病を発症した事実は認められなかった事を示している」などと書いてくる。しかし労災認定されなくともパワハラがなかった事にはならない。認定されなかったのは「強」と認定されなかっただけで「中」や「弱」のパワハラは存在したのである。長時間労働も時間管理の責任のある被告企業側が、時間管理を怠っている場合は、原告側の主張を採用するべきなのである。そうした意味で監督署のパワハラによる労災認定審査は問題があり過ぎで、救済機関の役割を果たしていないと言える。これではただの税金泥棒にひとしい。

実際に、持ち帰り残業が月100時間を超えるものであっても、監督署は資料作りについては少ししか労働時間と認定せず、深夜に連絡のメールの存在があっても数分残業を認めるだけなので、大阪ではパワハラでの労災認定は不可能に近い。しかも問題なのは、資料開示請求で出てきた資料は原告側の主治医の提出書面でさえ黒塗りだ。被告企業側の資料が黒塗りなのは理解できても、なぜ開示請求した原告側の書面まで黒塗りになるのか理解出来ない。

こうしてパワハラ裁判の傾向性を見ていくと、日本の裁判所や監督署が企業側の味方であり、被害者側の敵であることが明らかとなる。パワハラでの労災認定は被害者が自殺でもしない限り業務起因性が認められることはほとんどない。だからパワハラされている労働者は勤務中はICレコーダーを保持して仕事をする以外自己を防衛できないと思ってほしい。もっとも録音があっても時間外労働が月100時間以上の長時間労働でないと、と労災認定申請は却下されるので労災認定は非常に難しい。

なぜ大阪でパワハラや違法解雇が蔓延るのかを労働基準監督署や経営者は考えた方がいい。企業のパワハラを容認することは企業組織そのものをダメにする、ということが彼らは理解できていないのである。「ひいきの引き倒し」とはこのことだ。労働基準監督署は少なくとも中立の立場で審査すべきであろう。うつ病の労災認定が、企業側が否定すると証拠があっても認定しないことが企業にとってもマイナスの結果になっている。裁判所や労働基準監督署のパワハラ擁護が肝心の企業組織を腐敗させていることを指摘しなければならない。企業内で増えているデータ改ざんや、不正隠しがそれを示している。

こうしてパワハラによるうつ病の労災認定がほぼ不可能であることは、被害者を救済しない、加害者を罰しないということなので、企業内の環境を最悪にし、労働者の勤労意欲を奪い、職能や技能の継承を妨げ、日本企業の能力低下につながっている。これはかっての終身雇用制の下での労働意欲の高さと比べると雲泥の差といわねばならない。したがってパワハラ被害者を救済しないことの企業側の損失は計り知れないのである。
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Author:m.kadono
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