労働者派遣法の改悪に対する反対声明

            大阪労働者弁護団の声明を転載します。
安倍内閣は本年9月29日,「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律等の一部を改正する法律案」(以下「本法案」という。)を第187回国会へ提出し,本法案は本年10月28日,衆議院本会議で審議入りした。
当弁護団は,本法案に断固反対し,本法案の撤回を求めるものである。
本法案の最大の問題点は,「労働者派遣の利用は専門的・臨時的な業務に限る」として,直接雇用を派遣と置き換えること(=常用代替)を防ごうとしてきた労働者派遣法の根本原則を放棄している点である。

すなわち,本法案によれば,派遣元と無期雇用契約を締結している派遣労働者については,派遣先企業は,業務の種類にかかわらず,無期限に派遣労働者として利用することができる。また,派遣元と有期雇用契約を締結している派遣労働者についても,派遣先企業は,3年ごとに事業所の労働者の過半数で組織する労働組合(それがないときは事業所の労働者の過半数を代表する者)から,形式的に「意見を聴」きさえすれば,人を入れ替えていつまででも労働者派遣を利用し続けることができる。

このような制度が導入されれば,企業は,あらゆる業務について無期限に労働者派遣を利用できることとなるから,これまで企業の業務を担ってきた直接雇用の正社員の多くが派遣労働者に置き換えられる,すなわち「常用代替」が促進され,「正社員ゼロ」への一里塚となる。

そもそも,戦後労働法は「労働力を必要とする者は,自ら労働者を雇用して労働力を調達すべきである」という直接雇用の原則の下,中間搾取の禁止(労基法6条)や労働者供給事業の原則禁止(職安法44条)によって,労働者と使用者の間に第三者が介入して利益を得ることを禁止してきた。これは前近代的労働関係において,労働関係への営利業者の介入が中間搾取による低賃金や劣悪な職場環境など,さまざまな弊害をもたらしたことへの反省にもとづくものである。

2008年のリーマンショック後の「派遣切り」の広がりと同年末の「年越し派遣村」は,直接雇用の原則の例外たる労働者派遣制度が,上記のような弊害を内包するものであることを白日の下にさらした。その結果,現在までに,きわめて不十分ながらも「派遣労働者の保護」を図るための若干の法改正が行われてきた。

しかし,現在でもなお,派遣労働者は企業にとって「安価で,いつでも使い捨て可能な」きわめて都合の良い存在として利用されており,派遣労働者は低賃金・不安定雇用を余儀なくされるとともに,そのような不安定な地位はセクハラ・パワハラ被害の温床になっているという問題も指摘されている。

いまとられるべき施策は,短期的には,このような不安定かつ劣悪な地位に置かれている派遣労働者の地位を向上させることであり,具体的には派遣先労働者との「均等待遇」を使用者に義務づけることである。そして長期的には,前述した「直接雇用の原則」に立ち戻り,派遣労働者の数を縮小させるための措置をとっていくことである。

よって,当弁護団は,本法案に断固反対し,本法案の撤回を求めるものである。
                                       以上

(本声明についてのお問い合わせ先)
大阪労働者弁護団 事務局長 弁護士 奥山 泰行
〒556-0016 大阪市浪速区元町1-5-7 ナンバプラザビル802
ナンバ合同法律事務所 TEL:06-6633-5777 FAX:06-6633-1417
関連記事

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

m.kadono

Author:m.kadono
一人でも入れる労働組合「新世紀ユニオン」ではリストラ無料相談を行っています。
平日:9:00~18:00
土日祝:12:00~17:00
(土日祝と17:00以降は要予約)
Tel:06-6452-5833
Fax:06-6452-5677

!!お気に入りに追加!!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード